qspds996

揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

ポール・シュレイダーの「超越的スタイル」

聖なる映画―小津/ブレッソン/ドライヤー (1981年) 作者: ポール・シュレイダー,山本喜久男 出版社/メーカー: フィルム・アート社 発売日: 1981/02 メディア: ? この商品を含むブログを見る ポール・シュレイダー『聖なる映画——小津/ブレッソン/ドライヤー…

ネット映画は曲がりなりにも成熟しつつある/レヴァン・ガブリアゼ『アンフレンデッド』

www.youtube.com 泥酔動画をウェブにアップされたことを苦に自殺した女子高生ローラ・バーンズ。一年後、イジメの加害者たちにSkypeやFacebookを通じて接触してきたのは、死んだはずのローラを名乗るアカウントだった。そのアカウントは彼らが隠し持つ秘密や…

にんげん研究会2016 第1回「地域と映画」

すでに終了したイベントですが備忘録として。6月に鳥取大学の学生が中心となって活動している「にんげん研究会」で自作について話しました。高校時代に制作した『手紙』(2002年)への質問があってドギマギしつつも、これまでの活動を振り返る良い機会になり…

石川卓磨「教えと伝わり」TALION GALLERY

石川卓磨「教えと伝わり」TALION GALLERYを見た。 以下、鑑賞直後の雑感(展示は5月1日まで)。 タリオンギャラリーでは2年ぶりとなる個展「教えと伝わり」では、3人の女性が登場するダンスレッスンの場面をもとに、新作の映像と写真作品を展示します。3人の…

はるこん (HAL-CON)2016

「はるこん (HAL-CON)2016」にて、2015年に制作した『落ちた影/Drop Shadow』と『And the Hollow Ship Sails On』の上映とトークを行います。 会場:静岡県総合コンベンション施設 プラサ ヴェルデ会期:2016年4月16日(土)14:30より上映開始(開始時間が…

disPLACEment「場所」の置換vol.3 佐々木友輔 New Film(TRAILer)

新作映画の「紙上予告編」となる小冊子を作成しました。同作は、土屋誠一氏の企画による「disPLACEment――「場所」の置換vol.3」の一環として構想されたもので、昨年12月の上映会と併せて沖縄で撮影をおこない、現在は編集作業を進めているところです。 郵送…

藤田直哉 編著『地域アート――美学/制度/日本』

地域アート――美学/制度/日本 作者: 藤田直哉,会田誠,遠藤水城,加治屋健司,北田暁大,佐塚真啓,清水知子,じゃぽにか,有賀慎吾,村山悟郎,田中功起,藤井光,星野太 出版社/メーカー: 堀之内出版 発売日: 2016/03/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る …

『バットマンvスーパーマン』についてのメモ

Batman v Superman: Dawn of Justice - Official Final Trailer [HD] 『Batman v Superman: Dawn of Justice』(バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生)の鑑賞前、Twitterに次のようなことを書いた。 ザック・スナイダーは「スーパーマンの実在を…

石川卓磨《6 seconds of 2028》

美術家の石川卓磨さんの新作短編映画《6 seconds of 2028》に原案というかたちで参加しました。2月7日〜3月13日に青森のテコギャラリーで観ることができます。 石川卓磨×山本良浩展responsive/responsible会期 2月7日-3月13日場所 テコギャラリーhttps://m.f…

マイケル・マン『ブラックハット』2015年

5/8(金)公開『ブラックハット』予告編 マイケル・マンの『ブラックハット』を見た。『アベンジャーズ』でマイティ・ソーを演じるクリス・ヘムズワースが、刑務所からの釈放と引き換えにサイバー犯罪組織を追うプログラマーを演じている。 コンピュータに関す…

映画批評のハイブリッド化――「完全映画」が現れてくるかもしれないという夢想は可能だ

「図書新聞」の最新号に、昨年参加したトークイベントの採録が掲載されています。近年の映画を巡る状況について、率直に語っています。 図書新聞 No.3239 2016年01月23日映画批評のハイブリッド化――「完全映画」が現れてくるかもしれないという夢想は可能だ…

佐々木友輔監督作品『新景カサネガフチ』『落ちた影/Drop Shadow』上映会&トーク

筒井宏樹さんにお招きいただき、初めて鳥取で上映をおこなうことになりました。最新作『落ちた影/Drop Shadow』と、2010年に制作して以来各地で上映を続けている『新景カサネガフチ』の2本。なかなか面白い組み合わせではないかと思います。鳥取周辺にお住…

2015年に見た新作映画ベスト20

2015年に見た新作映画のベストです。『スターウォーズ』観終えたので追記しました 今年見た映画は新作/旧作と劇場/自宅合わせて320本。ベストの最初の5本は、未知の何かを見せてくれたもの、ひたすら遠くまで連れて行ってくれたもの。しばしば映画を見てい…

わたしが彼女を見た瞬間、彼女はわたしを見た

「わたしが彼女を見た瞬間、彼女はわたしを見た」最終日のアーティスト・トークにゲストとして参加します。 展覧会「わたしが彼女を見た瞬間、彼女はわたしを見た」出品作家|青柳菜摘とだつお、金川晋吾、門眞妙会期|2015年12月11日(金)~26日(土)時間…

2015/12/19

(備忘録として2015/12/19のツイートを転載) 『風景の死滅』はたしかに重要な参照先ではありますが、応用というよりは、風景映画という方法そのものへの批判と乗り越えが目指されています。(〈風景映画〉から〈場所映画〉へ) まず撮影の方法論として〈場…

『ハッピーアワー』と集会室的空間

濱口竜介の最新作『ハッピーアワー』の公開が始まっている。これまでの作品と同様、様々な切り口から語ることのできる(語りたくなる)魅力的なフィルムだ。わたしも個人的な関心から、本作について少しだけ書いてみたい。 映画『ハッピーアワー』予告編 - Y…

disPLACEment――「場所」の置換vol.3(映画『土瀝青 asphalt』上映)

12月12日(土)、はじめて沖縄で自作を上映することになりました。土屋誠一氏企画による「disPLACEment」(vol.1/vol.2)シリーズの第3弾として、『土瀝青 asphalt』を上映し、終了後には土屋氏と私のトークがあります。沖縄在住の方、お近くにお住まいの方…

11月の上映&イベント

11月の予定をまとめました。 【1】三代川達 第10回上映会 base ten number system 11月7日(土)、8日(日)15:30、19:0011月9日(月)〜11月13日(金)21:00料金前売¥900 / 当日¥1,500(共に1ドリンク¥500別)会場 UPLINK FACTORY(1F),ROOM(2F) 詳細…

いま、個人映画を観るということ(三)いまこそ飯村隆彦を読/見直す

11月23日(月・祝)の文学フリマで頒布される同人誌『ビンダーVol.3』(特集「ゴダール&gdgd妖精s」)に参加しています。ブースはキ-05〜06。私は連載「いま、個人映画を観るということ」の第3回「いまこそ飯村隆彦を読/見直す」を書きました。 飯村隆彦と…

チェーンブレイカー

私が脚本を担当した映画『チェーンブレイカー』(ワタナベカズキ監督)の上映が11月におこなわれます。自作以外の脚本を書いたのは初めて。どんな作品になっているのか、今から楽しみです。 三代川達 第10回上映会 base ten number system 11月7日(土)、8…

「動画の時代」の「映画批評」はいかに可能か——「ポストメディウム的状況」を考える

限界研の新刊 『ビジュアル・コミュニケーション』の刊行記念トークイベントに参加します。 11月17日(火)19:30〜、ジュンク堂池袋店にて開催です。 ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評 作者: 限界研,飯田一史,海老原豊,佐々木友輔,竹本竜…

佐々木友輔 新作上映[Epoch]

22日(日)の回は定員に達しましたため、受付を終了させていただきました。 当日券扱いにて、作品をご覧いただくことは可能ですが、ご予約の方を優先でお通ししますので、少々見づらい(3D効果が得づらい)座席になってしまうかもしれないことをご了承くださ…

ビジュアル・コミュニケーション——動画時代の文化批評

ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評 作者: 限界研,飯田一史,海老原豊,佐々木友輔,竹本竜都,蔓葉信博,冨塚亮平,藤井義允,藤田直哉,宮本道人,渡邉大輔 出版社/メーカー: 南雲堂 発売日: 2015/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商…

なぜ「私」が撮るのか 髙橋耕平作品《HARADA-san》上映&トーク

「なぜ「私」が撮るのか」 髙橋耕平作品《HARADA-san》上映&トークに参加します。初引込線です。 hikikomisen.com なぜ「私」が撮るのか 初老のアートウォッチャーを題材にしたドキュメンタリー映像と年表からなる、髙橋耕平の作品《HARADA-san》を上映。 …

映画にとってインターネットとは何か(9) 検索編・補遺

インターネットを扱った映画の分類 第1回から8回までの考察をもとにして、以下のようにインターネットを扱った映画の「型」を便宜的に分類・整理してみた。今回はこれを踏まえて、まだ紹介できていないいくつかの型を補足的に取り上げることにしよう。 03 出…

誰もが映画監督(映像作家)になり得る時代

まったく新しい時代の始まりだ。 わたしたちはいま、誰もが映画監督になり得る世界に生きているのだ――。 このような希望に満ちた言葉が唱えられるようになったのは、一体いつ頃からだろう。つい最近のことのように思う者もいるかもしれないが、実はその歴史…

映画にとってインターネットとは何か(8) (SNSへの)無知がもたらす予期せぬ奇跡

フェイクドキュメンタリーとSNS――『クロニクル』 これまで、フェイクドキュメンタリーに対する最大のツッコミ所は、「なぜ危険を冒してまでカメラを回し続けるのか?」ということだった。もちろんそこで撮影を止めてしまえば映画にならないのだが、戦場カメ…

映画にとってインターネットとは何か(7) 引き延ばされた出会い

イ・ジェヨン『純愛譜』 イ・ジェヨンが2001年に制作した『純愛譜』は、インターネットを通じて、国を超えて二人の男女が出会う物語だ。ただしその出会いは、映画のラストに訪れる。 ソウルの役所で働くウインは、単調な日々の仕事に飽き飽きし、夜にインタ…

映画にとってインターネットとは何か(6)  Jホラー・ネットロア・モビリティ

レンタルビデオショップから見える風景 たまにはパソコン画面から離れて、街のレンタルビデオショップに出かけてみよう。DVDがずらりと並んだ棚を見渡してみると、インターネットで「インターネットを扱った映画」を検索した時とはまったく異なる風景が広が…

映画にとってインターネットとは何か(5) ニューメディアと幽霊

この連載は、現在わたしが制作を進めている新作長編映画『落ちた影/Drop Shadow』(仮)の制作ノートです。neoneo webでの連載「Camera-Eye Myth/郊外映画の風景論」で展開した現実空間の場所論では扱うことのできなかった、人間の活動空間としてのインタ…