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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

揺動メディアとしての映画——手ぶれ映像論のために

 

1. 揺動メディア論 イントロダクション

2. 揺動映画の誕生(1) ガブリエル・ヴェールと揺動映画の歴史

3. そして船は揺れる——揺動メディア論的世界観への招待(外部リンク)

 

 わたしは映画制作の傍ら、揺動メディアとして映画を記述すること、あるいは手ぶれ映像論の執筆を進めてきました。それは、これまでの映画をめぐる言説の多くが〈固定されたカメラ〉を前提としていたのに対して、〈揺れ動くカメラ〉を前提として映画を根本から捉え直し、記述し直すことです。

 〈揺れ動くカメラ〉による映画について語るためには、当然、それに応じた言葉が必要であり、手ぶれ映像を逸脱としてしか語り得ない〈固定されたカメラ〉の語彙では不足です。しかし今のところ、残念ながら〈揺れ動くカメラ〉による手ぶれ映像を体系的にまとめた論考や議論はほとんど見当たりません。揺動は、すべての映画に見ることのできるありふれたものでありながら、これまでまったくと言って良いほど考察の主題となってこなかった。いわば映画の「盲域」であり続けてきました。〈揺れ動くカメラ〉を語るためには、その目的に適した新たな言葉をつくっていくことが不可欠です。

 

 ここでは、揺動メディア論を構築するための土台とすべく準備中のテキストを公開していきます。基本的な問題意識や作成した用語の定義を誰でも参照可能なウェブ上に掲載しておくことで、この試みが、映画を語ろうとする者にとって何かしら「使える」ものになればと思っています。なお、このブログに掲載している内容のうち、「揺動メディア論 イントロダクション」に関しては、いわば揺動メディア論の「まとめ」的なページとして利用していく予定です。そのため、随時加筆・修正を行ったり、記事が増えて煩雑になればその部分を別ページに移動させるなど、予告なく変更を加える可能性があることを記しておきます。

 

佐々木友輔(qspds996(a)gmail.com)