ミック・ギャリス『バーチャル・ウォーズ3』1998年
人工知能研究の大家ジョー・メッセンジャー博士のもとに、助手のジュリエットがやってくる。病に冒され余命わずかの彼女は、自分の脳をコンピュータにアップロードすれば永遠の命を得られると考え、ジョーの反対を押し切って実験を決行。肉体を持たないデータだけの存在として生まれ変わり、家電やエレベーター、飛行機などコンピュータに接続されたあらゆるものをコントロールして邪魔者の排除に乗り出す。
ネットワーク上を自由に移動してクラッキングを繰り返す幽霊というモチーフは、1993年の『ヴァイラス/インターネットの殺人鬼』(レイチェル・タラレイ、1993年)と共通している。「ユビキタス社会」や「モノのインターネット」(Internet of Things、IoT)が提唱され始めた90年代末頃の時代の空気を反映したフィルムと見做せるだろう。