園子温『自殺サークル』2002年
54人の女子高生による鉄道自殺を皮切りに各地で頻発するようになった集団自殺事件を、その捜査を進める刑事たちの視点から描いたミステリー。
作中、集団自殺との関係が疑われるウェブサイト「廃墟ドットコム」が登場し、その画面上には、男性自殺者の数が白玉、女性自殺者の数が赤玉で表示される。こうした描写から自殺系サイトの問題を扱った初期の例として語られることもあるが、廃墟ドットコムはあくまで人々の間で広がっていく自殺の輪(サークル)の一部を成しているに過ぎない。園子温は、あえて元凶である真犯人や黒幕を設定しないことによって、全貌の掴めない事件の不気味さ、不穏さを強調している。