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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

アダム・ランドール『iBOY』2017年


iBoy | Official Trailer [HD] | Netflix

 

Netflixが制作したイギリス映画。

 

16才の青年トムは、同級生のルーシーがギャングに暴行を受ける現場を目撃し、警察に通報しようとして犯人に銃で頭を撃たれてしまう。一命を取り留めたトムは、被弾時に耳に当てていたスマホの破片が脳に達していた影響で特殊な能力を手に入れ、その力を用いて復讐を開始する。


スマホと一体化したトムの能力は、初めのうちはメールの送受信をしたり周囲の通話音声が盗聴できるぐらいのものであったが、次第にエスカレートしていき、果ては自動車を遠隔操作して爆発させたり、電波(?)を操ってギャングを吹き飛ばすまでになる。SF映画としても荒唐無稽すぎる設定だが、ネットやスマホといった現代的意匠を取り込むためには、これぐらいの割り切りが必要かもしれない。


飛び交う情報を視覚的に眺めることができるトムの主観的世界と、メールの送受信テキストをテロップ表示するというネット映画定番の手法を重ねるなど、ディスプレイを映し出すことの視覚的地味さを回避しつつ効率的に物語を展開させていく工夫が光る。ただし、トムが常に現場に赴いて復讐を遂行する点については、場面設計の都合(主人公が現場に居ないのでは盛り上がらない)とネットやスマホの特徴(遠隔性や匿名性)を両立し得ているとは言い難い。

 

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