郊外映画の風景論 #6/船をめぐる揺動メディア論
ウェブ上に二つの論考が掲載されました。
いよいよ連載も後半戦に突入です。
今回は、映画『悪人』とファスト風土論的「悪所」との関係、そして黒沢清監督『叫』に見られる、立場なき場所から人間への復讐について論じています。
郊外映画および風景映画では、「この風景が私(彼)をあの犯罪に至らせたのだ」と、ある意味で場所に責任転嫁をする映画が数多くつくられてきました。しかしそれは正当な言い分であったのかどうか。『叫』は、ある意味でそうした物語へのカウンターのような映画です。そこでは、人間に都合良く利用され、忘れ去られた場所が、その理不尽さに対して理不尽に復讐をする。
けれども、こうした場所の捉え方にも問題があるのではないか。場所を人間的に解釈することは、はたしてその場所を擁護することになるのだろうか。……そんなようなことを論じています。
そして船は揺れる——揺動メディア論的世界観への招待 映画監督佐々木友輔特別寄稿:Book News|ブックニュース
こちらは「船」と「海」(水)を出発点として「揺動メディア」とはなにかを語る論考。「入門」的な体裁ではありますが、実はかなり時間をかけたテキストです。『ART CRITIQUE no.4』のブレアウィッチ論とはまた違った角度で揺動メディアの様相に切り込んでいますので、ぜひご覧くださいましたら幸いです。
入門だ、序論だ、と、いつまでも入口の前でおろおろしている感じですが、本論についての壮大?な構想も練っています。それもいずれ発表の機会がもてれば良いなと思っています。