マックス・ニコルズ『きみといた2日間』2014年
ニューヨークに暮らすメーガンは、婚約者に振られ、就活もうまくいかない閉塞した状況を変えるために出会い系サイト「ロマンス.com」に登録。そこで出会ったアレックと一夜限りのつもりで関係を持つ。翌朝、アレックの無神経な言葉に怒ったメーガンは帰宅しようとするが、夜のあいだに降り積もった大雪のせいで玄関の扉が開かず、アレックと二人、部屋に閉じ込められてしまう。
『セッション』のマイルズ・テラーと『ラブ・アゲイン』のアナリー・ティプトンが主演をつとめた恋愛劇。結婚したカップルの3分の1はネット上で知り合っており、離婚率も低い(「eHarmony」による2005年から2012年にかけての調査)と言われるアメリカの恋愛事情を反映したフィルムとして売り出された。
ネットの利用が何ら特別なことではなく、日常の一部となっている時代を鮮やかに体現するのが、メーガン役のアナリー・ティプトンが見せるずぼらなパソコン操作だ。あぐらをかいて、ノートパソコンを膝の上に乗せてみたり、寝そべって腹の上に乗せてみたり、一時的に傍に置いてワインを飲んだりと、決して安価ではない機材をひたすら雑に扱う彼女の振る舞いは、従来のネット映画の主流であった、うやうやしく椅子に座り、食い入るようにデスクトップ画面を見つめるネットユーザーのイメージを刷新している。