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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

アダム・ランドール『iBOY』2017年


iBoy | Official Trailer [HD] | Netflix

 

Netflixが制作したイギリス映画。

 

16才の青年トムは、同級生のルーシーがギャングに暴行を受ける現場を目撃し、警察に通報しようとして犯人に銃で頭を撃たれてしまう。一命を取り留めたトムは、被弾時に耳に当てていたスマホの破片が脳に達していた影響で特殊な能力を手に入れ、その力を用いて復讐を開始する。


スマホと一体化したトムの能力は、初めのうちはメールの送受信をしたり周囲の通話音声が盗聴できるぐらいのものであったが、次第にエスカレートしていき、果ては自動車を遠隔操作して爆発させたり、電波(?)を操ってギャングを吹き飛ばすまでになる。SF映画としても荒唐無稽すぎる設定だが、ネットやスマホといった現代的意匠を取り込むためには、これぐらいの割り切りが必要かもしれない。


飛び交う情報を視覚的に眺めることができるトムの主観的世界と、メールの送受信テキストをテロップ表示するというネット映画定番の手法を重ねるなど、ディスプレイを映し出すことの視覚的地味さを回避しつつ効率的に物語を展開させていく工夫が光る。ただし、トムが常に現場に赴いて復讐を遂行する点については、場面設計の都合(主人公が現場に居ないのでは盛り上がらない)とネットやスマホの特徴(遠隔性や匿名性)を両立し得ているとは言い難い。

 

www.netflix.com

 

 

TRAILer 佐々木友輔作品上映

 

昨年公開した最新作『TRAILer』(2016年)の沖縄初上映があります。同時上映は『新景カサネガフチ』(2010年)。近辺にお住いの方はぜひご覧ください。

 

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TRAILer 佐々木友輔作品上映

日時:2017年9月16日(土)18:00-
場所:BARRAK沖縄県那覇市大道35-5)
上映作品:『TRAILer』(2016年)、『新景カサネガフチ』(2010年)
※上映終了後、佐々木友輔×土屋誠一・トーク
料金 500円
問い合わせ 070-5555-0142 tsuchiya@okigei.ac.jp

 

『TRAILer』

デジタル/50分/2016年
制作: 佐々木友輔
朗読: カニエ・ナハ
朗読脚本: 土屋誠一
音楽: 田中文久
内容:1845年の春。米軍が読谷村・渡具知から沖縄本島に上陸し、同年6月に摩文仁の丘で日本軍の組織的抵抗が終了した。2015年の冬。私は渡具知ビーチと沖縄平和祈念公園を検索し、GoogleMapだけを頼りに、2点を結ぶ撮影の旅に出た──。初めて訪れた土地のイメージと、その土地に抱いてきたイメージの距離を探る〈場所映画〉の最新作。

 


『新景カサネガフチ』

デジタル/69分/2010年
制作: 佐々木友輔
朗読: 菊地裕貴
出演: 石塚つばさ
音楽: 田中文久
2011年、関東鉄道常総線に新しい駅ができて、その土地の名前も「ゆめみ野」に変わった。街のめまぐるしい変化に寄り添って暮らしてきた一組の夫婦は、ある出来事をきっかけにして、街の歴史と夫婦の時間を、交差させ、かさね合わせるようにしながら追憶していく。そこに浮かび上がってくるのは、いつか夢に見た景色――累ヶ淵。『夢ばかり、眠りはない』に続く〈風景映画〉。

佐々木友輔×渡邉大輔「『シネマ』と『人間』の彼方に何があるのか?——『人間から遠く離れて——ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』&『ゲンロン5』刊行記念イベント」

 

2017年8月27日(日)に、ゲンロンカフェで『人間から遠く離れて——ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』の刊行記念イベントがあります。初のゲンロンカフェ出演、ザック・スナイダーの作品を見ていなくても&映画に詳しくなくても楽しめる話題をたくさん用意してお待ちしておりますので、ぜひぜひご予約・ご来場ください。

 

peatix.com

 

 渡邉大輔氏とは長い付き合いになりますが、公の場でじっくりお話するのは久しぶりな気がします。拙著『人間から遠く離れて――ザック・スナイダーと21世紀映画の旅』については、言いたいことは文中で書ききってしまったので、渡邉氏から率直なご感想・ご批判をいただくのを楽しみにしつつ、ここでは、『ゲンロン5』所収の「「顔」に憑く幽霊たち――映像文化と幽霊的なもの」を拝読して、当日ぜひ議論ができればと思ったことを二つ記しておきたいと思います。

 一つ目、「幽霊的身体」の実存と倫理。黒沢清『岸辺の旅』やアピチャッポン・ウィーラセタクンのフィルムに登場する、平然と人間たちと相互干渉する幽霊たちは、たしかに全然怖くない。けれど他方で、そこには、かつての幽霊映画とは別種の「怖さ」や「不気味さ」が宿っているようにも思えます。例えば、いつ醒めるとも知れない眠りや夢の不穏さが漂う『光りの墓』(アピチャッポン)と『エンジェルウォーズ』(ザック・スナイダー)。エクソシズムという定番の題材を扱いながら、情報社会における人間の悪意(悪魔憑き)を描いているとも読むことができそうな『死霊館』&『インシディアス』シリーズ(ジェームズ・ワン)。実写とCG・VFXという異なるルールを一つの身体に宿したヒーローたちの分裂と痛みを描く『アベンジャーズ・エイジ・オブ・ウルトロン』(ジョス・ウェドン)、『マン・オブ・スティール』『バットマンvsスーパーマン』(ザック・スナイダー)……。『人間から遠く離れて』共著者のnoirseが言うように、これらのフィルムに触れることは、SNOWやInstagramで自らのイメージを仮構=加工しながら、今の所まだ生身の肉体を手放すことができずにいる人間たちの実存に触れることと同義ではないでしょうか。そしてまたここには、レヴィナス的な「顔」とは異なる倫理を打ち立てるためのヒントが隠されているのではないでしょうか。

 二つ目。「ポストシネマ」について語ろうとしているわたしたちは、なぜこうまで「シネマ」あるいは「映画」にこだわらなければならないのか。先にも触れたSNOWやInstagram、あるいはアニメや海外ドラマの隆盛ぶりや軽やかさと比べると、長い伝統や慣習、そしてカメラが介在するがゆえの指標性に縛られた映画は、あまりにも鈍重で、不自由なものと見なされがちです。しかしもちろん、わたしが今も映画を撮り続けるのは、引っこみがつかなくなって意地を張っているからでもなければ、歴史遺産として保護したいからでもありません。他のメディアや芸術には不可能な、映画だからこそできることがまだまだあると信じているからです。そしてきっと渡邉氏も、同様の確信を持って、映画研究や批評に携わっているのではないかと想像しています。そんなわけで、現状を冷静に分析するだけではなく、「今の映画ってこんなに面白い!」「関わらなきゃ損だよ!」という積極的なアジテーションができれば……!!と思っているのですが、渡邉さん、いかがでしょう?(佐々木)
 
【当日扱うかもしれない作品リスト】
ザック・スナイダー『エンジェル ウォーズ』(2011)
ザック・スナイダー『マン・オブ・スティール』(2013)
ザック・スナイダーバットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)
ジョス・ウェドンアベンジャーズ』(2012)
ジョス・ウェドンアベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015)
マイケル・ベイトランスフォーマー/ロストエイジ』(2014)
マイケル・ベイトランスフォーマー/最後の騎士王』(2017)
・ナチョ・ビガロンド『ブラック・ハッカー』(2014)
・ナチョ・ビガロンド『シンクロナイズドモンスター』(2016)※日本公開2017年11月
ジェームズ・ワンインシディアス』(2011)
ジェームズ・ワンインシディアス第2章』(2013)
ジェームズ・ワン死霊館』(2013)
ジェームズ・ワン死霊館 エンフィールド事件』(2016)
・ブリット・マーリング、ザル・ バトマングリ『The OA』(2016)
アピチャッポン・ウィーラセタクンブンミおじさんの森』(2010)
アピチャッポン・ウィーラセタクン『光りの墓』(2015)

DJまほうつかい(西島大介)とインディSF映画の胎動〜『異類婚のエスノグラフィー』上映会〜

 

8月26日(土)、第56回日本SF大会「ドンブラコンLL」で、脚本を執筆した短編『異類婚のエスノグラフィー』の上映を行います。上映終了後には、監督のワタナベカズキさん、音楽の西島大介(DJまほうつかい)さんとのトークもありますので、ぜひご覧ください。

 

DJまほうつかい(西島大介)とインディSF映画の胎動〜『異類婚のエスノグラフィー』上映会〜|第56回日本SF大会 ドンブラコンLL

 

SF作家でありマンガ家の西島大介が音楽家「DJまほうつかい」名義で映画音楽と主題歌を担当した映画作品2作品を上映。映像制作集団「Shifter」より『異類婚のエスノグラフィー』ワタナベカズキ(監督)と佐々木友輔(脚本・批評家)を迎え、SF表現についてのトークも行う。同時上映は『レイニー&アイロニーの少女コレクション』

 

 

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「生きるためのテレビ~あした、会社に行きたくない~」再放送

 

今年3月に放送された「生きるためのテレビ~あした、会社に行きたくない~」の再放送があります。私はダンス映像の撮影をしました。振り付け・ダンスはハラサオリさん。ディレクターは後藤怜亜さん。音楽・作曲は田中文久さん、歌は角銅真実さんです。

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8/22(火)20:00~
8/29(火)13:05~
Eテレ全国放送

http://www.nhk.or.jp/heart-n…/…/calendar/program/index.html

 

以下のページでダンス動画の視聴ができます。 

http://www.nhk.or.jp/heart-net/mukiau/

 

「生きるためのテレビ」ディレクターの後藤怜亜さんは、8月31日(木)午後10時から放送の「#8月31日の夜に。」も準備中とのこと。こちらもぜひご覧ください。

www.nhk.or.jp

佐藤洋一+佐々木友輔「場所の経験を記録する──映画と都市のイメージ」

 

10+1のウェブサイトに、佐藤洋一さんとの対談が掲載されました。この夏に予定している3度目の沖縄撮影に向けて、これまでの制作活動を見つめ直すとても良い機会になりました。
佐藤さんの著作『地図物語シリーズ』や『米軍が見た東京1945秋──終わりの風景、はじまりの風景』』も非常に面白いので、ぜひこの対談と合わせてお読みいただきたいです。

 

10plus1.jp

 

同対談は特集「トポグラフィの生成と言説」の一環として実施されました。他の2本の論考は以下から読むことができます。

 

トポグラフィの生成と言説
写真や映画は、発明以来さまざまな風景のイメージを描き出してきました。場所や空間の見方を規定するトポグラフィ(=場所を描く視覚表象)はどのように変化し、語られてきたのでしょうか。本特集では、佐藤守弘氏と榑沼範久氏の論考のほか、都市形成史研究の佐藤洋一氏と、「場所映画」を提唱する映像作家の佐々木友輔氏による対談を掲載。美学・芸術学や、工学、作品制作の知見から、場所、風景、空間と人間のかかわりを考えます。

 

10plus1.jp

 

10plus1.jp

清水増夫氏インタビュー「文化のための映画制作支援──鳥取から、地域と映画の理想的関係を考える」

 

鳥取コミュニティシネマの清水増夫氏にインタビューをしました。大都市圏の映画文化とも、シネコン文化とも異なる映画との関わり方があるのだということを、多くの人に読んで知ってもらえると嬉しいです。

「文化のための映画制作支援──鳥取から、地域と映画の理想的関係を考える」

http://qspds996.com/landscapefilm/?p=97

 

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鳥取コミュニティシネマの次の上映は『母の身終い』、9月24日(日)@鳥取県立博物館講堂です。鳥取近辺にお住いの方はぜひ。

blog.canpan.info