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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

和田篤司『アバター』2011年


映画『アバター』予告編

 

地味で引っ込み思案な女子高生の阿武隈川道子は、クラスの中心的存在・妙子の紹介で半ば強引に「アバQ」というSNSに入会させられる。乗り気でなかった道子だが、スロットでレアアイテムを入手して周囲からちやほやされたことを機に、アバQにのめりこむ。ウェブ上の分身=アバターを美しく着飾るため、手段を選ばず課金を重ねた道子は、妙子を蹴落としてクラスの女王に。しかしその行為はエスカレートし、やがて窃盗や殺人といった犯罪行為にまで至ってしまう。

 

山田悠介による同名小説の映画化。ネットを得体の知れない「社会の敵」とみなす平凡な物語だが、本作の美点は、アバQを徹底して携帯電話の画面上にのみ現れるものとして扱うことだ。ウェブ上の出来事が現実空間に直接的な影響を及ぼすわけではなく、イメージ映像を用いた派手な描写で盛り上げようとするのでもなく、小さなインターフェース上の画像が変化する(アバターが着替える)という禁欲的な描写を守ることによって、ただそれだけのために犯罪に手を染める道子や妙子の異様さが際立つのである。

 

アバター

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