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池添博、樫原辰郎、小糸一男、里内英司『稲川淳二のショートホラーシネマ 戦慄のホラー』2003年


角川ホラーシネマⅠ 稲川淳二のショートホラーシネマ 予告編

 

稲川淳二のショートホラーシネマ」は、角川書店とジャパン・デジタル・コンテンツの共同製作による短編シリーズ。各作品の冒頭と末尾に、稲川淳二による解説が組み込まれている。


同シリーズは、デジタルコンテンツ流通会社ビットウェイを通じて配信され、自宅のパソコンやファミレス等に設置された端末「プラスe」で有料視聴することができた。計3シリーズ12作品が制作され、後にDVD化。「戦慄のホラー」では、若者のあいだで流行している事象を題材とした4作品が収録されている。


池添博が監督をつとめた「チェーンメール」では、イジメを苦に自殺した友人の名を騙ってチェーンメールを打つ女子高生3人に起きる恐怖が描かれる。当時のカメラ付きケータイの荒い解像度が鑑賞者に想像の余地を与え、死者からのチェーンメールの不気味な印象を強調することに貢献している。


樫原辰郎が監督をつとめた「山の中の忘れ物」では、出会い系サイトで知り合った女を山中に連れ込み、色よい返事をもらえなければ置き去りにして帰ることに快楽を見出していた男の末路が描かれる。「相手の顔が見えない」出会い系サイトは危険な人物と遭遇するリスクがあるというのはよく聞く教訓話だが、同作では、加害者側の男もまた「相手の顔が見えない」ために恐怖を味わうという一捻りが加えられている。

 

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