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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

野口照夫『たとえ世界が終わっても Cycle soul apartment』2007年


たとえ世界が終わっても(予告編)

 

余命数年を宣告された真奈美は、自殺サイトの管理人・妙田に連絡を取り、死にたい者たち同士で集まる。ところが、妙田が見たかったテレビドラマの最終回について語り始めたことをきっかけにして、参加者たちがこの世に未練を感じ始め、結局、集団自殺は決行されなかった。真奈美は会社の屋上で一人飛び降り自殺を図るが、そこに妙田が現れ、「あなたに助けてもらいたい人がいる」と奇妙な提案を持ちかける。


短編映画や深夜ドラマで名を馳せた野口照夫の長編初監督作品。ネットの自殺サイトが「前世の記憶」をめぐる奇妙な物語世界へと観客を誘う扉となる構成は、『自殺サークル』(園子温、2002年)や『ヴァンパイア』(岩井俊二、2012年)と共通しており、それはまた、出会い系サイトをきっかけとする数多の恋愛映画の変奏でもあるだろう。