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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

ブルーノ・ボーセナット『ブラッドゲーム』2016年


ブラッドゲーム

 

一部の富裕層のみが知る闇のインターネット「ダークウェブ」。そこでは日々、武器や偽造IDの売買、児童ポルノやスナッフフィルムの配信がおこなわれている。謎の武装集団に拉致されて「人間狩り」の標的となったイローナは、10万ドルを払って狩りに参加したハンターたちの追撃から逃れ、無数のカメラが設置された森からの脱出を図る……。


森林地帯での殺人ゲーム配信という物語と舞台設定は、おそらく『監獄島』(スコット・ウィパー、2007年)や『ハンガー・ゲーム』(ゲイリー・ロス、2012年)を意識してのものだろう。だが『監獄島』が元WWEレスラーのストーン・コールド・スティーブ・オースチンのアクションを見せ場にしたり、『ハンガー・ゲーム』がゲームに熱狂する富豪や視聴者のドラマにも目を向けるといった趣向を凝らしているのに対して、『ブラッドゲーム』はそれら先行作品との差異化を図れるような独自性を打ち出すことができていない。細部に関しても、ハンターが頻繁かつ無防備に覆面を着脱するなど、このゲームが「監視」され、「配信」されているという設定を無駄にしてしまうような描写が目立つ。

 

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