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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

にんげん研究会2016 第3回「土屋誠一に聞きたい!100のこと」

 

8月25日(木)に鳥取の「たみ」にて、にんげん研究会の第3回「土屋誠一に聞きたい!100のこと」が開催されます。近辺にお住いの方はぜひお越しください。

 

トーク「土屋誠一に聞きたい!100のこと」

ゲスト:土屋誠一氏(沖縄県立芸術大学准教授)
聞き手:田中優 門脇瑞葉 (鳥取大学筒井宏樹研究室)

日 時|2016年8月25日(木)19:00〜
場 所|たみ
参加費|無料
企画|鳥取大学にんげん研究会(地域学部五島・仲野・小泉・筒井研究室)
お問い合わせ|ninninninlab(a)gmail.com
http://www.tamitottori.com/news/log/201608_927.html

https://www.facebook.com/ningenkenkyukai/posts/537790396

 

 

ゲンロン3 脱戦後日本美術

ゲンロン3 脱戦後日本美術

 

 

トークの開催にあたって、予習も兼ねて土屋氏の論考「一九四五以前の「沖縄美術」?」(『ゲンロン3 脱戦後美術』所収)を読んだ。以下メモ。

 

土屋は、「対ヤマト」的でも「ポストコロニアリズム」的でもない「沖縄美術」を構築することは可能か? という問題意識のもと、その手がかりとなるような、近代以後の沖縄を取り巻く言説の検討を進めていく。

「王国時代の美術工芸品」に価値を置く鎌倉芳太郎と「無名の陶工による雑器」に価値を置く濱田庄司の棲み分け(対立)、柳田國男折口信夫らによる言語を媒介とした空間把握による沖縄の原型探求の試みが概観された後、その試みを引き継いで特異な議論を提示した人物として人文地理学者・仲松弥秀の名が挙げられる。

沖縄における「神と村」の空間的配置を検討した仲松が示したニラスク(はるか海の彼方に存在する理想郷)という水平的世界観は、垂直的世界観を強いる階層社会それ自体を批判するアナキズムであり、日本への同化も、カウンターとしての国民国家の形成をも拒む。

土屋はそこに沖縄固有の視触覚的な空間を生み出す可能性を見出し、冒頭の問いへの答え、すなわち「対ヤマト」的でも「ポストコロニアリズム」的でもない「沖縄美術」立ち上げのヒントがあるのではないかと論じている。

先行する言説の蒐集・整理にとどまらず、そこで得られた知見を徹底的に「使えるもの」として提供しようという姿勢が一貫しているように感じられ、作家としてはただただありがたい。もちろんこれだけで自分自身の意識や立場がポストコロニアリズム的なものから逃れられるはずもないのだけれど、取りつく島のない状況で、それでもなお「引き返す」という選択肢をとらずに進んでいくための羅針盤があることは大きい。