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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

マイケル・マン『ブラックハット』2015年

映画にとってインターネットとは何か

 


5/8(金)公開『ブラックハット』予告編

 

マイケル・マンの『ブラックハット』を見た。『アベンジャーズ』でマイティ・ソーを演じるクリス・ヘムズワースが、刑務所からの釈放と引き換えにサイバー犯罪組織を追うプログラマーを演じている。

コンピュータに関する天才的な能力と鍛え抜かれた身体を併せ持つ武闘派ハッカーを平然と主人公に据えたマイケル・マンは、ネット社会という題材を得てもこれまでと変わらない作劇を貫く。すなわち、重く響く銃声、孤独な男たちの友情、渇いた都市の風景。前半に二度挿入されるコンピュータ内部のCG映像も都市の温度にぴったり揃えられている。

このように従来の美学を重んじ、ネット映画としての冒険はあまり見られないフィルムだが、物語の展開がスパイ映画のフォーマットに近似しているのは興味深いところだ。

本作のサイバー犯罪を監修したマイケル・パニコの「今、あらゆる装置がインターネットに繋がって来ているでしょ。そうやって、何もかもをオンラインにする世の中へと急速に向かってる」という言葉は、ハッキング描写自体の工夫や正確さよりもむしろ、活劇の舞台を世界規模でめまぐるしく移行させることへのもっともらしい理由付けとして要請されたのではないか(「マイケル・マンが描く現代ネット社会の闇『ブラックハット』がリアルすぎて必見!」)。

グローバルに暗躍するスパイという設定が現代性を失い、その反動として古風でロートルなスパイの悲哀が好んで描かれる現在、かつてスパイと呼ばれたものが担った役割の一部はハッカーへと受け継がれているのだ。

 

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