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揺動メディアについて。場所と風景と映画について。

映画にとってインターネットとは何か

アダム・ランドール『iBOY』2017年

iBoy | Official Trailer [HD] | Netflix Netflixが制作したイギリス映画。 16才の青年トムは、同級生のルーシーがギャングに暴行を受ける現場を目撃し、警察に通報しようとして犯人に銃で頭を撃たれてしまう。一命を取り留めたトムは、被弾時に耳に当ててい…

ネット映画は曲がりなりにも成熟しつつある/レヴァン・ガブリアゼ『アンフレンデッド』

www.youtube.com 泥酔動画をウェブにアップされたことを苦に自殺した女子高生ローラ・バーンズ。一年後、イジメの加害者たちにSkypeやFacebookを通じて接触してきたのは、死んだはずのローラを名乗るアカウントだった。そのアカウントは彼らが隠し持つ秘密や…

マイケル・マン『ブラックハット』2015年

5/8(金)公開『ブラックハット』予告編 マイケル・マンの『ブラックハット』を見た。『アベンジャーズ』でマイティ・ソーを演じるクリス・ヘムズワースが、刑務所からの釈放と引き換えにサイバー犯罪組織を追うプログラマーを演じている。 コンピュータに関す…

映画にとってインターネットとは何か(9) 検索編・補遺

インターネットを扱った映画の分類 第1回から8回までの考察をもとにして、以下のようにインターネットを扱った映画の「型」を便宜的に分類・整理してみた。今回はこれを踏まえて、まだ紹介できていないいくつかの型を補足的に取り上げることにしよう。 03 出…

映画にとってインターネットとは何か(8) (SNSへの)無知がもたらす予期せぬ奇跡

フェイクドキュメンタリーとSNS――『クロニクル』 これまで、フェイクドキュメンタリーに対する最大のツッコミ所は、「なぜ危険を冒してまでカメラを回し続けるのか?」ということだった。もちろんそこで撮影を止めてしまえば映画にならないのだが、戦場カメ…

映画にとってインターネットとは何か(7) 引き延ばされた出会い

イ・ジェヨン『純愛譜』 イ・ジェヨンが2001年に制作した『純愛譜』は、インターネットを通じて、国を超えて二人の男女が出会う物語だ。ただしその出会いは、映画のラストに訪れる。 ソウルの役所で働くウインは、単調な日々の仕事に飽き飽きし、夜にインタ…

映画にとってインターネットとは何か(6)  Jホラー・ネットロア・モビリティ

レンタルビデオショップから見える風景 たまにはパソコン画面から離れて、街のレンタルビデオショップに出かけてみよう。DVDがずらりと並んだ棚を見渡してみると、インターネットで「インターネットを扱った映画」を検索した時とはまったく異なる風景が広が…

映画にとってインターネットとは何か(5) ニューメディアと幽霊

この連載は、現在わたしが制作を進めている新作長編映画『落ちた影/Drop Shadow』(仮)の制作ノートです。neoneo webでの連載「Camera-Eye Myth/郊外映画の風景論」で展開した現実空間の場所論では扱うことのできなかった、人間の活動空間としてのインタ…

映画にとってインターネットとは何か(4) ネットワーク殺人ゲームへの招待

グレゴリー・ホブリット『ブラックサイト』 2008年にグレゴリー・ホブリットが制作した『ブラックサイト』は、インターネットの動画中継を利用した公開殺人事件を描いたサスペンス映画だ。 サイバー犯罪の取り締まりを担当するFBIの捜査官ジェニファーはある…

映画にとってインターネットとは何か(3) 身近な犯罪、遠い分身

デヴィッド・スレイド『ハードキャンディ』 日本で問題となった「オヤジ狩り」に想を得てデヴィッド・スレイドが制作した映画『ハードキャンディ』(2005年)は、30代のフォトグラファー・ジェフと14歳の少女ヘイリーが出会い系サイトでチャットをしているシ…

映画にとってインターネットとは何か(2) 1995年、二つのハッカー映画

アーウィン・ウィンクラー『ザ・インターネット』 1995年、Windows95の発売によってインターネットが一般家庭に急速に普及し、社会現象ともなったこの年、アーウィン・ウィンクラー監督がその名も『ザ・インターネット』(原題「The Net」)というフィルムを…

映画にとってインターネットとは何か(1) デヴィッド・フィンチャーへの不満

この連載は、現在わたしが制作を進めている新作長編映画『落ちた影/Drop Shadow』(仮)の制作ノートです。neoneo webでの連載「Camera-Eye Myth/郊外映画の風景論」で展開した現実空間の場所論では扱うことのできなかった、人間の活動空間としてのインタ…